作物への想い

土と野菜

「あんたねぇ、ここにそんなして植えたって、なんも育たんよ。ここはね、政和以北で一番痩せた土地なんだから。」新規就農時、堆肥や鶏ふん灰、貝化石、米糠ぼかしなどを入れて野菜作りを始めた私に、お隣のお婆ちゃんがやってきて言った。元の地主さんも、「3年経っても何も出来んよ。」と夫に言った。「痩せた土地を何でもできる土地にしたら、それこそ財産ですから。」そう夫は返した。
3年経っても何も出来ん。さすがこの土地を熟知している先人たち。私たちがどんなに頑張っても、3年経ってもまともな作物は育たなかった。1年目は、草さえも育たない、とことん痩せ細った土地だった。手作りの自家製床土で種をまいて育った苗は優秀だったが、畑に植えた後は全然育たない。

一か月経っても、死ぬわけではないが全然育たずジッとしていた。成長しないのだった。雑草さえも無かった。秋まで植えたはずのトマトは目につかないくらいの背丈だった。たった1個、青い実をつけていた。それさえも霜にあったって終わった。そんなまるでスポンジにでも植えているかのような土は、4年目から様子が変わってきた。売れるレベルの野菜が出来始めたのだ。そうなるといろいろと野菜を作りたくなり、美味しい野菜がたくさん出来てくると売りたくなった。他と比べてどうかはわからなかったが、やたらと褒めてくれる人が現れ、首都圏に売り込みに行くと高い評価を受けた。厳しい自然。短い夏。一年の半分は雪に閉ざされた朱鞠内。ここだからこそこの味の物が出来るのだと確信が持てた時、流してきた汗と涙が無駄ではなかったと思えた。

土とEM

私たちのどこよりも痩せた土地を何でも育つ土地に変えたのは、就農当初から使い続けているEM(有用微生物群)のおかげです。賛否両論があるEMですが、私たちの奇跡といわれる有機農業の原動力はEM菌が活躍してくれたおかげだと思っています。微生物の働きが、健康で順調で病害虫に強い作物を育てる。人の健康も同じなのだとつくづく思います。蘇生型の微生物を活発に働かせることで作物の成長は短い夏をめいっぱい生かして成長し、実を結びます。それぞれが必死に頑張るのです。ひたむきに頑張ってその作物独特の個性的な味わいを身に付け、生命力に溢れた命となります。EM技術は新たな段階に入り、量子力学の量子もつれを生かした整流結界技術が、作物の成長を促進させてくれます。私たちの畑でも整流炭作りからはじまり、整流結界を張ったり、海水活性液や塩の活用技術も取り入れています。EM技術は私たちの有機農業にとって欠かせない存在になっています。

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